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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十七話
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音楽のことだと、自然と頭に入ってくるんだ

 任務の三日前に、湊人くんが俺の部屋にやって来た。


「はい、どうぞ」

「なーに、これ?」

「今度のパーティーに来る客人の中で、特に重要な人物のデータだよ。透花さんに頼まれたから、みんなに配ってるんだ。あなたは彼女のエスコート役なんだから、ざっと目くらい通しておいてよね」

「ほ~い」


 透花さんが湊人くんを呼び止めてた理由はこれだったんだろうな~。

 そんなことを考えながら、俺は渡された資料をパラパラとめくった。

 そこには、その人物の名前や出身地、家族構成などが細かく書かれてる。

 それだけじゃなくて、好きな食べ物や色、動物なんかまで載ってた。

 写真も添えてあるから、その人の顔までわかるようになってる。


(ひゃ~。相変わらず湊人くんはすごいな~。……ん?)


 かるーく目を通すだけのつもりだったのに、とある欄が俺の目を惹く。


「好きな音楽……?」


 この人はクラシック、次の人は演歌、こっちの人はジャズ。

 同じような年代の人も多いのに、音楽の趣味は全然違って面白いな~!

 曲の名前まで書いてある人もいて、俺はそこだけを夢中で読み始めた。

 いつになく熱心に資料を読み込む俺を、湊人くんは不審な目で見てる。


「急に真面目になって、どうしたのさ?」

「いや、この好きな音楽のところが面白いなーって思って!」

「ああ。虹太くんはそういうの好きだもんね」

「うん☆ 万人に好かれる音楽ってなかなかないと思うけど、音楽自体を嫌いな人ってあんまり聞かないじゃん! ねえねえ、これってこの重要な人たちだけじゃなくて、他の人のデータもあったりするの?」

「もちろん。いやあ、虹太くんが僕のデータに興味を持ってくれるなんて嬉しいな。紙にすると膨大な量になるから、データでもよければ渡そうか」

「やった~♪ 湊人くん、ありがと☆ えーっと、料金は……」

「今回は特別に、タダでいいよ。任務に関わることでもあるしね」

「湊人くんってばふとっぱら~!」


 こうして俺は、パーティーに参加する何百人分かのデータを貰ったんだ。

 ほんとにすごい量だったから、見るのがちょっぴり大変だったけど……。

 でも、音楽のことだと勝手に頭に入ってくるから不思議だよね。

 あっという間に、参加者全員の顔と好みの音楽をバッチリ記憶しちゃった☆

 これでいろんな人との会話も弾むだろうし、任務が楽しみだな~♪

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