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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十七話
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俺には無理なことをやれちゃう君が、とってもうらやましいよ

 それからは、一色隊のみんなに聴いてもらうのはもちろんだけど、公園とかでやってたミニコンサートも復活させたんだ。

 夏生くんってアイドルの子に頼まれて、作曲もやったりね~。

 人に聴いてもらう機会が増えたから、だいぶ昔の感覚が戻ってきたよ。

 こんな感じで、音楽生活はめっちゃ充実してる☆

 軍人生活では、この一ヶ月くらいがすっごい大変だった!

 爆発事件に巻き込まれそうになったり、心ちゃんがさらわれたり……。

 心ちゃんがさらわれた日は、俺、家にいなかったんだ。

 事情は説明してもらったけど、俺にできることなんてなんにもなくて……。

 そのまま待ってたら、透花さんが心ちゃんを連れて帰ってきたんだよね。

 帰ってきた心ちゃんは、大切な話があるって言って俺たちを集めた。


「……というわけで、僕、半分人間じゃない。竜人なんだって……」


 心ちゃんは、お父さんに会って色々話を聞いたらしい。

 そのことを、包み隠さずみんなに話してくれたんだ。


「今まで隠してたけど、目も、こっちだけ赤いんだ……」


 そう言うと、いつも髪の毛で隠してる左目を見せてくれた。

 ……でも、俺には左右の目の色の違いなんてわかんない。

 俺は生まれつき、色を識別する能力が鈍いからさ……。

 赤じゃない方の心ちゃんの目が、何色かもわかんないんだよ。

 心ちゃんに竜人の血が混じってるからって、差別するような人はいない。

 まあ、動物と話せるし、元々不思議なところはあったもんね~。

 ……それに、ここにいる人は、みんな何かを隠してる気がするんだ。

 俺も、奏太くんに出逢わなければきっと音楽には戻らなかったと思う。

 ……この目のことも、自分から誰かに話したことはない。

 透花さんとりっくんは気付いてるみたいだけど……。

 みんなを信用してないわけじゃないんだけど、怖いんだよね……。

 目のことを知ったら、俺を見る目が変わっちゃうんじゃないかって。

 かわいそうって、思ってほしくないんだ。


「……その眼、これからどうするの。隠し続けるのが大変なら、学校に行ってる時だけとか、一時的に目の色を黒くできる薬を用意するけど」

「……理玖さん、ありがと。でも、大丈夫。……これからは、隠さない。この目は、僕がお父さんの子どもである印だから。びっくりする人もいると思うけど、ちゃんと説明すればきっと平気、だと思うし……」

「……そう」


 ……心ちゃんはすごいなぁ。

 みんなと違う目のことを、否定せずに受け入れて、他人に話せるんだもん。

 ……俺は、まだそれはできない。

 俺の方が年齢はお兄さんなのに、心ちゃんの方がよっぽど大人だよね。

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