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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十六話
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即興リサイタル、大成功!

①椎名虹太の場合


「大和くん、美海ちゃん、お待たせ~! 迎えに来たよん☆」

「こうたにい!」

「にいちゃん、もしかしてたまに公園でえんそうしてる人か!?」


 虹太が学童クラブに入ると、一人の少年が声をかけてきた。

 虹太はたまに、電子ピアノやギターを使い外で弾き語りをやっているのだ。

 どうやらこの少年は、虹太の演奏会を目にしたことがあるらしい。


「そうだよ~♪ 君、たまにお客さんで来てくれる子だよね!」

「おれのことしってんのか!?」

「もっちろ~ん☆ おれ、お客さんの顔はちゃーんと覚えてるもん♪」

「さいきんなんであんまりえんそうしないんだよ! たのしみにしてんのに!」

「ごめんね~。こうも寒いと、指が動かなくてさ」

「じゃあ、ここでならいいだろ! ちょうどピアノもあるし!」


 少年は虹太の手を引くと、ピアノがある場所まで案内しようとする。


「ファンの期待には応えないとね! でも、今日はお迎えに来ただけだから少しだけだよ~。大和くん、美海ちゃん、帰るの少し待ってもらってもへーき?」

「うん! みうもこうたにいのピアノだいすきだもん!」

「………………………………!!」


 虹太からの質問に、大和もこくこくと頷く。


「よーっし! 先生、入ってもいいですか~?」

「はい! どうぞ~!」


 さすがの虹太も、無断で入ることはしないようだ。

 学童クラブの職員に許可を取ると、靴を脱いで中に入っていく。


「じゃあ弾いていくね~☆ そうだな~、じゃあまずはこの曲から!」


 そう言うと、最近小学生の間で大流行しているアニメソングを奏で始めた。

 メドレー形式で二曲目、三曲目と進むにつれて、初めは少年と大和、そして美海の三人しかいなかった聴衆はどんどん増えていき、五曲目が始まる頃には全ての子どもたちが虹太の演奏に聴き入っていた。

 全部で、七曲ほど弾いただろうか。

 虹太が鍵盤から指を離すと、溢れんばかりの拍手がクラブ内に響き渡る。


「やっぱにいちゃんのえんそうはすげーよ!」

「かっこよかったね~! ピアノって、こんなにたのしいんだ!」

「わたしも、もっとちゃんとれんしゅうしなきゃっておもった~!」

「ご清聴、ありがとうございました~☆」


 子どもたちの笑顔に釣られ、虹太もいつも以上にいい笑顔を見せたのだった。

 椎名虹太がお迎えに行ったら――――即興リサイタル、大成功!

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