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ごちゃごちゃな気持ち
人間の領地まで送ってもらった僕たちは、そこから電車を乗り継いで王都に戻ってきた。
そして、あの家に帰るために歩いてるんだけど……。
……僕の足取りは、とても重かった。
……帰れるのは、すごく嬉しいよ。
本当は、走って帰りたいくらい……。
……でもそれは、僕だけの気持ちかもしれないから。
僕のせいで、みんなひどい目に遭った……。
柊平さんたちはともかく、ぱかおは大怪我をしたって透花さんに聞いたんだ。
その原因の僕を、みんなは迷惑に思ってないかな……?
帰ってくるなって、思ってないかな……?
美海は理玖さんの薬のおかげで、今回のことは覚えてないみたいだけど……。
「心くん、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「透花さん……」
……あと少しで家に着くのに、僕の足は完全に止まってしまった。
そんな僕に、透花さんが優しく声をかけてくれる。
「ほら、あそこを見てごらん」
「………………………………? あっ……!」
透花さんに言われた方向を見ると、そこには……。
みんなが、門の外で僕を待っててくれたんだ……。