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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十五話
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ばいばい! またね!!

 ……とうとう、僕たちが王都に帰る時間になった。

 見送りに来てくれたのは、お父さんだけじゃなくて……。

 さっきまで透花さんと戦ってた人たちや、リヒトさんもそこにいたんだ。

 僕がお父さんと話してる間に、透花さんもみんなと話をしたみたい。

 さっきまでの重い空気は、すっかりなくなってたよ。


「一色殿、これからも心のことをよろしくお願いします」

「はい。心くんを悲しませるようなことはしません。あの日、火山に誓いましたから」

「………………………………!! やはり、気付いていたのか……」

「竜王様に会うまでは確信が持てませんでした。でも、お会いしたらすぐにわかりましたよ」

「……あなたのことを信じきれなくて、本当に申し訳なかった」

「いいえ。少し言葉を交わしただけの者を信じられないのは当然です」


 透花さんとお父さんが話してるのを、僕は竜化した人の背中に乗って見てた。

 この人が、僕たちを人間の領地まで送ってくれるんだって……。

 話が終わると、透花さんが僕の隣に座る。

 ……とうとう、出発の時だ。

 僕を乗せた竜の体が、少しずつ浮き上がっていく。

 ……お父さんの顔が、だんだん小さくなっていくよ。


「……心!」

「……どうしたの?」

「お父さんはいつか、この国を変える! もっと、他国、他人種との交流が盛んな国にしてみせる! そうしたら、今度はお母さんと美海を連れて一緒に来てくれ……! お父さんが育った、愛するこの国を、二人にも見てほしいんだ!!」

「……わかった! お父さん、約束だよ!!」

「ああ! 男と男の約束だ!!」


 最後の方は、距離が離れて二人とも大声になってた。


「お父さん、ばいばい! またね!!」


 僕は、大きく手を振る。

 声は届いてないかもしれないけど、これなら見えるよね……?

 お父さんも、僕に手を振ってくれたような気がする。

 こうして僕は、透花さんと一緒に帰ることになったんだ。

 幸せがたくさん詰まった、あの家に――――――――――。

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