伝わる想い
「……何故だ!? 何故避けない……!?」
だけど、いつまで経っても痛みは襲ってこなくて……。
目を開けてみると、お父さんの爪は透花さんの顔すれすれのところで止まってた……。
でも、少しだけ当たっちゃったのかな……?
透花さんのほっぺからは、血が流れてる……。
「避けたら、心くんに当たります」
「なんだと……?」
「心くんは、私の大切な仲間です。命を懸けて守るのは当たり前のことですから」
「貴様なら、心を連れて避けることだって出来ただろう……!? 私の仲間たちを、あそこまで追い込むほどの能力を持っているのだから……!」
「それでは、私の気持ちがお父様に伝わりません。意味がないんです」
「……そうか。やはり、あなたは……」
透花さんの後ろにいる僕からは、彼女の表情は見えない。
だけどきっと、凛とした綺麗な顔をしてるんだろうなぁ……。
透花さんの言葉を聞くと、お父さんは竜化を解いて人間の姿に戻った。
「……一色透花殿、数々の非礼を詫びさせて欲しい。改めて、心の父親、そしてこの国の王として挨拶をさせてくれないか。この国はあなたを、正式な客人として歓迎する」
そう言うとお父さんは、透花さんに向かって頭を下げたんだ――――――――――。