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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十五話
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この優しい手は、いつでも僕を引き戻してくれるんだ。

「……心、そこをどくんだ」

「いやだ……!」

「……その女のやったことは、国王として見過ごせない」

「お父さんは、透花さんのことなんにも知らないくせに……! 僕の気持ちも……!!」

「心……」

「僕は絶対にここをどかない……! 僕が邪魔なら、ころ……!」


 「殺せばいいじゃないか」と言おうとしたところで、僕の口が何かに覆われた。

 優しくてあったかくて、ふわふわしてるこれは、透花さんの手だ……。


「……心くん、その先は言っちゃダメだよ。その言葉は、心くんも、お父さんも傷付ける」

「……ん、ごめんなさい」

「ううん。心くんがそんな言葉を言いたくなるほど、追い詰められていることはわかったよ」


 透花さんはそう言うと、僕の後ろから出てお父さんの前に立った。


「透花さん……!」

「大丈夫だよ、心くん。私に任せて」


 お父さんは、今にも攻撃しそうなのに……。

 いったい、どうするっていうの……?


「心くんのお父様、はじめまして。私は一色透花という者です。王都にて心くんと一緒に暮らしています。ご挨拶が遅くなってしまい、申し訳ございません」

「そんなことはどうでもいい……! 貴様が、私の部下たちをやったのか……!?」

「はい。自分の身を守るためだったとはいえ、これらは私がやったことです」

「いけしゃあしゃあと……! この小娘が……!!」


 お父さんの大きな爪が、透花さんに襲いかかる。

 僕は目を瞑って、ぎゅっと透花さんの背中にしがみつくことしかできなかった……。

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