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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十五話
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その戦いを止めたのは

「……そんなこと、私が許すはずがないでしょう」


 そう言ったリヒトさんが竜になったのと、大きな火の玉が飛んできたのはほぼ同時だった。

 透花さんはさっきと同じように、火の玉を弾き返す。


「あなたの許可なんていらない。心くんが帰りたいと言っているなら、そうするだけだよ」

「……シン様はこの国にとって重要な方なのです。ここから帰すわけにはいきません」

「私にとっても、心くんは大切なの。……お互いに譲れないなら、戦うしかないね」


 透花さんは僕の肩を抱くと、ふわりと建物の端まで飛んだ。

 僕の体は、まるで羽が生えたみたいに軽くて……。


「心くん、少しここで待っていてね。あの人たちは心くんのことが大切だから、故意に傷付けることはないと思う。私は、あの人と話をつけなければならない」

「……大丈夫? 透花さん、怪我してるのに……」

「うん、平気だよ。こんな怪我、理玖に診てもらったらすぐに治るよ」

「じゃあ、早く帰らなきゃだ……」


 僕の言葉に、透花さんはにこりと微笑んだ。

 そして僕から離れると、たくさんの竜たちと向かい合った。


「最期の挨拶は終わりましたか?」

「なんのこと? あなた、私がここで死ぬとでも思っているみたいだね」

「そうです。あなたはここで死ぬ。シン様には、これからもこの国で暮らしていただきます」

「……それ、前提から間違っているよ。私は死なない……!!」


 透花さんとリヒトさんたちの戦いが再開した。

 でも、透花さんの動きがさっきまでとは違う……。

 さっきよりもすごく速くて、好戦的っていうのかな……?

 透花さんが通った後に、次々と竜が倒れていく……。

 動きが速すぎて、何をしてるのかは見えないけど……。

 ……でも、動きが違うのは透花さんだけじゃない。

 竜たちも、リヒトさんの指示で連携して透花さんに攻撃を当てようとする。

 その攻撃は、透花さんに当たりこそしないけどすごい破壊力みたいだ……。

 建物の壁が、どんどん壊されていく……。

 戦いは五分五分で、この戦いは永遠に続くんじゃないかって思えた。

 でも……。


「何をしてる……!? これは一体、どういうことだ……!?」


 突然やって来たお父さんの一言で、あっという間に戦いは終わったんだ……。

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