広がる溝
「心、おはよう!」
「………………………………おはよう」
……あれから、どれくらい時間が経ったのかな。
すっかり日も上った頃に、お父さんが僕の部屋に来た。
……二人分の朝ご飯が乗ったお盆を持って。
「今日の朝食は、一緒に食べないか? 心と食事するなんて、久しぶりだな」
「………………………………」
お父さんは、机の上にそれを置いてから椅子に座った。
……こっちを見てるから、僕も仕方なくそっちに行く。
「さあ、食べよう!」
「………………………………」
お父さんは、朝ご飯を食べ始めた。
僕も、一応椅子には座ったけど……。
また、お腹は空いてるのに食べる気がしないよ……。
そんな僕に、お父さんは色々と話しかけてくる。
「今日はいい天気だな」
「………………………………」
「おっ、これはうまいぞ。心も食べてみなさい」
「………………………………」
僕は返事もせず、ご飯も食べずに、どうしてお父さんがここに来たのかを考えてた。
昨日は、僕の話なんて全然聞いてくれなかったのに……。
なんで、今日はこんなことするの……?
「……心、王都ではどんな暮らしをしていたのか教えてくれないか。一色透花は、お前にとってどういう存在なのか。一緒に暮らしていたのはどういう人間だったのか。あとは、美海についても聞きたい。お父さんは、赤ん坊だった頃の美海しか知らないからな……」
その疑問は、お父さんのこの言葉で解決する。
僕は、恐怖で震える足を抑えるのに一生懸命だった……。