よく眠れたのは、あの空気感のおかげだったんだ。
(ん……。知らない、天井……?)
目を覚ますと、そこには知らない天井が広がってた。
あっ、そうか……。
僕、お父さんの国に来たんだっけ……。
床で寝たはずなのに、どうやってベッドまで来たんだろう……。
まさか、本能的に寝たまま歩いてきた……?
寝るのが大好きだから、充分ありえるよ……。
(今、何時なのかな……?)
時間がわかるものがないか、周りを見渡してみる。
そこで僕は、あることに気付いた。
(写真が、ない……!)
手に持って寝たはずなのに、僕の手は空っぽだった。
(あれがないと、ここで頑張っていけないよ……!)
僕は、慌てて写真を探す。
そしたらそれは、ちゃんと枕の横にあったんだ……。
(よかった……)
写真をぎゅっと抱き締めてから、窓の外を見る。
まだ暗いってことは、夜だよね……。
でも、なんだかもう眠れそうにないや……。
……透花さんの家にいた時は、いつでも、どこでも寝ちゃってたのに。
(それだけあの家が、居心地がよくて安心できる場所だったんだな……)
そんなことを考えてると、本格的に眠れなくなってしまった。
僕はそのまま一睡もできずに、この国で初めての朝を迎えたんだ。