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男と男の戦い
そして遂に、プログラムナンバー20、組別対抗リレーの時間がやってきた。
現在一位は白組だが、二位以下にもほとんど点数の差はない。
つまり、この競技で勝った組が、そのまま優勝できるというわけだ。
このリレーは、年代別に十人で襷を繋いでいく。
幼児・小学生・中学生・高校生・成人の各年代から男女一人ずつ代表者を出し、走るのだ。
今回、蒼一朗と恵輔は成人男性、つまりアンカーとして出場する。
いよいよ、レースが始まった。
蒼一朗と恵輔は、話しながら自分の順番を待つ。
「今回は、うちの弟が迷惑をかけたみたいでごめんね」
「いや、別にいいっすよ。部長さんと勝負できるの、単純に楽しみだし」
「それは僕もだよ。弟の初恋のためにも、赤組が優勝するためにも勝つからね!」
「……俺も、あいつには笑っててほしいんで絶対に負けねぇっす」
穏やかだった二人の間に、緊張した空気が走る。
勝負の時が、刻一刻と近付いていた―――――。