569/780
六年ぶりの再会
(これは、土……? みんな、裸足だ……)
お父さんの国は、とても不思議な雰囲気だった。
建物は土でできてるし、みんな裸足だし……。
僕みたいな洋服を着てる人は、一人もいない。
民族衣装っていうのかな……?
男の人も女の人も、似たような服を着てる。
リヒトさんは洋服を着てたからわからなかったけど、これが普通なんだろうな……。
……だから、洋服を着てる僕はすごく目立つみたいだ。
さっきから、みんな僕のことを見てる……。
王都で暮らし始めてからは、こんな風に人に見られるなんてなかったから……。
みんなの視線が怖くて、僕は下を向いてしまった。
「シン様、あそこがお父様の暮らす王宮ですよ」
リヒトさんに促されて、僕は前を見てみる。
そこには、とても立派なお城があった。
茶色いけど、レンガか何かでできてるのかな……?
「心!」
「お、とうさん……」
お城に近付くと、門が開く。
そこから出てきたのは、六年ぶりに会ったお父さんだったんだ……。