推測が確信に変わる瞬間
竜人の特徴
・肌の色が、通常の人間よりも黒い。
・瞳の色は、混じりけのない真紅。
・怪我をしても治りやすく、病気にはなりにくい。
・上記のような体質のため、薬を服用した際の効能は薄い。
・皮膚が厚いため、寒暖の差に対して鈍感な場合がある。
・人間と竜、どちらの姿にもなれる。
・生体維持にエネルギーを使うため、大食漢な者が多い。
王立図書館にて透花が読んだ本には、このような内容が記されていた。
竜の姿をとれるということ以外は、全て心に当てはまっている。
(……他の子と、違うところがあるとは思っていた。まさか、竜だったなんて……)
透花は本を閉じると、丁寧に本棚に仕舞う。
ここは、王立図書館の地下にある書庫だ。
特に重要な文献が保管されているため、それなりの身分の者しか入れないのだ。
(心くんが何者かはわかった。でも、彼らはどこで暮らしているんだろう……)
竜人の生態については記されていたが、さすがに国の場所までは載っていない。
人里から離れた場所で暮らす彼らを探すには、どうすればよいのだろうか。
「お疲れ様です」
「はっ! 一色殿、お目当ての本は見つかったでありましょうか!?」
「はい。おかげさまで。ありがとうございました」
透花は守衛に挨拶をすると、地下の書庫を出た。
考え事をしながら、階段を上っていく。
一階まで戻ったところで、突然二人の男に話しかけられた。
「少しよろしいだろうか」
「そなたが一色透花で間違いないな」
「はい。……まさか、あなた方から出向いていただけるなんて思いもしませんでした」
透花に声をかけたのは、浅黒い肌に赤い瞳の男たちだった――――――――――。