そこから導き出せるのは
「飛車の駒……。これは、縦横に何マスでも進める駒だけれど……」
透花の言葉に、ぱかおは首を横に振った。
どうやら、彼が伝えたいのはこういうことではないらしい。
ぱかおは、寝ていたベッドに駒を置く。
その時に駒はひっくり返り、”飛”ではなく”竜”の面が上になった。
そして、再び透花を見つめる。
「竜王……。縦横に加え、斜めにも一マスずつ進めるようになる……」
ぱかおは、またしても首を横に振る。
彼が伝えたいのは、駒の意味ではなく書かれている文字そのものなのだ。
「……竜?」
その言葉に、ぱかおは頷く。
そして、安心したように再び眠ってしまった。
透花は、ぱかおが残してくれたメッセージの意味を考えなければならない。
しばらくして、一つの仮説に思い当たる。
(竜……。ドラゴン……?)
透花は、王都に戻る前は国内の様々な地域を転々としていた。
そこで、こんな噂話を聞いたことがあったのだ。
『この国には、人と竜、両方の姿になることができる”竜人”と呼ばれる種族が暮らしているらしい。人間をあまり好ましく思っていないため人里に現れることはほとんどなく、国を作り独自の文化を築きながら、隠れて生活しているようだ』
心には、他の人間たちとは違うところがたくさんあった。
(それが全て、竜の血が入っているからだとしたら……?)
だがこれは、一つの可能性に過ぎない。
透花は推測を確信に変えるために、とある場所に向かった。
目的地は、古くからの貴重な文献が多く残されている王立の図書館である――――――――――。