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急いては事をし損じる
プログラムナンバー14、ペア障害物競争。
「息を合わせて行くぞ。ゆっくりでもいいから、少しずつちゃんと進もうな」
「(こくり)」
「にいちゃん、はやくはやく! いそがないと負けちゃうって!」
「一人で突っ走っても進まないよ。二人で協力しないと」
蒼一朗と大和のペアは、足並みを揃えて頑張ったものの三位という結果に終わった。
さすがに、大人同士で出場したペアには勝てなかったのだ。
しかし、隼輔と恵輔のペアは五位だったので、ここには勝利したことになる。
負けたくないという気持ちが先走ってしまった隼輔は、兄と上手く波長を合わせて進むことができなかったのだ。
大和に負けたことがよっぽど悔しかったようで、隼輔は、ゴール後に涙を浮かべていた。
「大和、楽しかったか?」
蒼一朗の問いかけに、大和は返事を書いた紙を見せる。
そこには、“うん。おにいちゃんといっしょにでれて、すごくたのしかった!”と書いてあった。
「そっか! 兄ちゃんも、大和と出れて楽しかったぜ!」
二人は、仲良く手を繋ぎながらみんなの所へと戻っていった。