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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十四話
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優しい甘さに飛び込みたいよ

『しんにい? どうしたの?』

「……あ、うん。大丈夫だよ。リヒトくん、連れてきても……」


 美海の言葉に、僕は一瞬頭が真っ白になってたみたいだ……。

 会いたいとは言ったけど、断られたばかりだったから……。

 まさか今日対面することになるなんて、思わなかったんだよ……。


『やったー! じゃあ、これから二人でかえるね!』

「……うん。気を付けてね……」


 電話を切ると、僕は走ってキッチンに向かう。

 いつになく焦った僕の様子に、晴久さんと理玖さんは驚いてた。


「……どうしたの」

「何かあったんですか?」

「……美海がこれから、男の子を連れてくるんだ」

「……そう」

「じゃあ、張り切っておやつを作らないとですね」

「僕、髪ぼさぼさかな……? 颯くんいないから、セットしてもらえない……。服も、着替えた方がいいかな……? でも、どんな服着たらいいのかわからないや……」

「……少し落ち着きなよ」

「心くんはそのままで素敵だから、心配いりませんよ。それに、急に髪型や服装を変えたら美海ちゃんがびっくりしちゃいます」

「そう、だよね……」


 テンパっていつになく饒舌になった僕を、理玖さんと晴久さんが落ち着かせてくれる。

 ……こんなに慌てることじゃ、ないよね。

 妹が、友達を家に連れてくるだけなんだから……。


「二人とも、ありがと……。もう大丈夫……」

「……そう」

「それならよかったです。じゃあ、超特急でおやつを作ってしまいましょう」


 僕は、あずきの入った鍋を見守る仕事を任された。

 晴久さんが午前中から仕込んでたみたいで、中のあずきはもうとろとろだ。

 優しい甘さが、僕の鼻をくすぐる。

 今すぐこの鍋の中に飛び込みたいくらい、おいしそう……。

 そんなことを考えながら鍋を見つめてたら、あっという間に時間が過ぎてたんだ……。

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