表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十四話
547/780

甘露煮もモンブランも栗きんとんも、全部好き。

「では、栗の皮を剥きましょうか。心くんは、専用の皮むき器を使ってくださいね」

「晴久さんは……?」

「僕は包丁で剥きます。怪我をしないように、気を付けてください」

「ん……。皮、柔らかくなってるから平気……」

「水につけておくと、柔らかくなって剥きやすいんです」


 しばらく勉強をしてたら、晴久さんが帰ってきた。

 集中できなかったから、おやつ作りを手伝うことにしたんだ。

 僕と晴久さんが栗の皮を剥いてると、理玖さんがキッチンに入ってくる。

 理玖さん、うちにいたんだ……。

 普段から静かな人だから、全然気付かなかった……。


「理玖さん、いらっしゃったんですね」

「……ああ、診療所の方に。それ、今日のおやつ?」

「はい。ぜんざいを作って、それに入れようと思ってるんです」

「……ふーん」


 あ、理玖さん、ちょっと嬉しそう……。

 ぜんざいなら、卵とか牛乳が入ってないから安心して食べれるもんね……。


「……なにか、手伝おうか」

「じゃあ、鍋に水とお砂糖を入れて火にかけてもらえますか?」

「……砂糖を溶かせばいいの」

「はい。溶けたら、そこに栗を入れて煮詰めていきますから」


 ――――――――――ピリリリリリ。

 僕たちがおやつを作ってると、家電が鳴った。

 仕事関係の電話は、全部透花さんに直通でいくようになってる。

 ……だから、この電話の番号はここに住んでるみんなしか知らないんだ。


「……僕、出てくる」

「はい。お願いしますね」

「……よろしく」


 電話は苦手だけど、みんなからなら大丈夫……。

 そんなことを考えながら廊下に出て、僕は受話器を取った。


「……もしもし」

『もしもし! しんにい!?』


 電話は美海からだった。

 いつもなら、連絡なんてしないでそのまま帰ってくるのに……。

 何かあったのかな……?


「……うん、僕だよ。どうしたの?」

『あのね! 今からおうちにりひとくんをつれていってもいい!?』

「え……?」


 予想外の言葉に、僕は無言でその場に立ち尽くしちゃったんだ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ