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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十四話
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閑かな昼下がり

「いってきまーす!!」

「……いってらっしゃい」


 一週間後、美海はまたリヒトくんと遊ぶために出かけていった。

 だけど、僕の心はこの間よりも晴れやかだ。

 だって今日は、美海がリヒトくんに僕のことを話してくれるから。

 うまくいけば、来週には本人に会えるかもしれない……。

 ちゃんと顔を見て話ができたら、きっと、ものすごく安心できると思うんだ。


「美海ちゃん、今日もお友達と遊ぶんですね」

「……うん」

「心くん、今日はお出掛けの予定はありますか?」

「……ううん、特にない」

「じゃあ、少しだけ出てきても大丈夫でしょうか。手芸屋さんに行きたいんです」

「……ん、平気。晴久さん、一人で大丈夫……?」

「ありがとうございます。大丈夫ですよ。帰ってきたら、おやつを作りますね」

「今日のおやつ、なに……?」

「お正月についたお餅が残っているので、ぜんざいの予定です」

「……楽しみ。栗、入ってる?」

「はい。栗が入ると、もっと美味しくなりますからね」

「……やったぁ」

「では、行ってきます」

「……いってらっしゃい。気を付けてね」


 僕がリビングに行こうとすると、たくさんの服を着た晴久さんが出てきた。

 晴久さんは体が弱いから、いっぱい着ないと風邪ひいちゃうんだって……。

 僕なんか、冬でもコート着なくても平気なんだけど……。

 見てて寒いって言われるから、着るようにしてるんだよね……。

 晴久さんが出かけると、家の中は静かになった。

 今日は珍しく、みんな仕事だったり、用事があったりでいないんだ。

 ぱかおも、柊平さんの車に乗りたいって言って出かけちゃったし……。

 美海は鍵を持ってないから、誰かが残ってないと家に入れなくなっちゃう。

 いつ帰ってくるかわからないけど、今日は昼寝しないで待ってた方がいいよね……。

 晴久さんがすぐに帰ってくると思うけど、一応……。

 僕は、自分の部屋に戻ると教科書とノートを机に広げた。

 あんまり頭がいい方じゃないから、ちゃんと勉強しないと……。

 クリスマスに貰ったハンモックが僕を誘惑するけど、がまんがまん……。

 この家がこんなに静かなことはないから、勉強が進むなって思ったんだ。

 だけど静かすぎて、逆に集中できなかったよ……。

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