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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十三話
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みんなのもとに

「……二人とも、ご無事で何よりです」

「おい、大丈夫か……!?」

「透花さん、りっくん……。めっちゃくちゃ心配したよ~!」

「いやあ、一時はどうなることかと思いましたよ」

「い、生きた心地がしませんでした……」

「とうかねえー!! りくにいー!!」

「………………………………!!」

「うおおおおお! 本当によかった! ほんっとうによかったっす!!」

「……怪我、してる?」


 皆は一斉に透花と理玖に駆け寄り、思い思いの言葉をかけた。

 透花に近付くと、血の臭いが心の鼻を掠める。

 見ただけでは分からないが、どこかに怪我をしているのだろうか。


「ああ、うん、えっと……。爆発は大したことなかったのだけれど……」

「……ここまで戻る間に転んで、掌を擦り剥いたんだ」


 透花の掌は、理玖のスーツに隠れて見えない。

 だが確かに、血の臭いはそこからするようだ。

 二人の無事が分かると、皆は矢継ぎ早に質問をしていく。


「爆発は、結局なかったのでしょうか?」

「俺もそれ、気になってたんだ。爆発音が聞こえたんだけど、気のせいか?」

「ううん、気のせいじゃないよ~! 花火の音とは別の音がしたもん!」

「じゃあ、爆発自体はあったけど極めて小規模だったってことですかね?」

「そうかもしれないですね。現に、お二人は無事ですし」

「爆弾を仕掛けた奴ら、火薬の量でもミスったんすかね!」

「それにしては、濃い臭いだったけど……」


 皆の質問を一通り聞くと、透花は少しだけ困ったように微笑んだ。


「大体それであっているよ。詳しくは、家に帰ってから説明するね。私は色々と報告があるから、先に戻っていてくれるかな。柊平さん、みんなのことをお願いできる?」

「……かしこまりました。報告の供はいなくてもよろしいでしょうか」

「それは、一緒にいてくれた理玖に頼もうと思っています。大丈夫かな?」

「……わかった」


 こうして一色隊は、再び二手に分かれることになった。

 常に凛とした雰囲気の透花が疲れていることに、果たして何人が気付いただろうか。

 透花と理玖が様々な報告を終え屋敷に戻ったのは、明け方になってからだった。

 皆にとって波乱万丈になるであろう一年が、始まる――――――――――。

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