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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十三話
536/780

真実を知った時、彼らは

「………………………………!!」

「あっ! しんにいたちかえってきたよ!」

「みなさん、おかえりなさい」


 その後、柊平たちは城を出て晴久、大和、美海と合流した。

 理玖のことも気にはなったが、透花からの命令を優先することにしたのだ。


「理玖さんに会いましたか?」

「……ああ。城の中で会った。隊長の所へ向かったようだったが……」

「そうですか。少し席を外すと言ったきり戻らないので……」

「……二階堂から地図を受け取っていたので、迷わずに到着するはずだ。隊長と一緒ならば、なんの心配もない」

「……そうですよね。柊平さん、ありがとうございます」


 一色隊の面々は、それほどの信頼を透花に置いているのだ。

 ――――――――――彼女が、自分たちに嘘を吐くという可能性など考えないほどに。


「爆発物処理班、撤収は終わったか!?」

「はい! 全ての班、撤収を完了しております!」

「結局、本物の爆弾は見つからなかったからな。間もなく犯行予告時刻だ。衝撃に備えろ!」


 晴久を励ました柊平の耳に、信じられない言葉が入ってくる。

 それは、他の隊員たちにも衝撃を与えた。


「……それは、どういう意味でしょうか」


 柊平は、処理班の男に声をかける。

 男の言っている意味が、上手く理解出来なかったからだ。


「……どういうも何も、言葉の通りだが」

「……私たちの隊は、爆弾を見つけ処理班に連絡をしました」

「……君、所属はどこだね」

「……一色隊です」

「……一色隊の者か。確かに、一色隊長から我々に要請があった。だがほぼ同時刻、他の場所でも複数の爆弾が見つかっていたんだ。ダミーかどうか確かめるために、全ての者が出払っていてな。一色隊長には、すぐに向かえない旨を伝えてある」


 隊員たちはここで、透花が残酷な嘘を吐いたことに気付かされる。


「その後、犯行予告時刻に間に合わないので避難するように連絡を入れたが……。まさか、まだ戻って来ていないのか!? もう、五分と経たず爆発するぞ!」

「……くそっ!」

「透花さん!」


 男の話を聞き、蒼一朗と颯が城内に入ろうとする。

 だがそれは、この場にいた他の軍人たちに止められてしまった。


「やめろ! お前たちまで死ぬ気か!?」

「離せ! 離せよ!!」

「透花さん……! 理玖さん……!!」


 晴久は、足に力が入らず地面にへたり込んでしまっている。

 大和と美海を心配させまいと抱き締める心も、顔色が悪かった。

 虹太からはいつもの飄々とした表情は消え去り、冷や汗が止まらないようだ。

 湊人は必死に二人に連絡を入れるが、それが繋がることはなかった。

 爆発まで、あと十分――――――――――。

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