彼を突き動かすものは、ただ一つ
「………………………………」
「みんな、どうしておしろの外に出てきたの?」
「お城の中に、とっても怖い物があるんです。みんな、それと戦ってるんですよ」
「………………………………!!」
「ぜったいにかつよ! そうにいもしんにいもとうかねえも、とってもつよいもん!」
「そうですね。みんなが戻って来るまで、僕たちはここで待ちましょう」
時は、少しだけ遡る。
大和と美海を連れた理玖と晴久は、城外で皆の帰りを待っていた。
(さっきの笑顔は、いつもとは違った……)
晴久たちの会話が耳に入らないほど、理玖は考え込んでいた。
先程の透花の笑顔が、気になって仕方ないのだ。
(くそっ……。なんなんだ、この動悸は……)
それだけではない。
理玖の第六感が、何かを告げようとしているのだ。
「……少し、席を外しても構わないかな」
「……? はい、わかりました。二人のことは任せてください」
「……うん、よろしく」
そう言うと理玖は、城内に向かって駆け出した。
彼を突き動かすものは、ただ一つ。
(……彼女の傍に、行かないといけない気がする)
透花を想う、その気持ちである――――――――――。