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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十三話
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さよなら今年、よろしく来年

 一色隊はこの日、王からの要請を受けとある任務に就いていた。

 今日は十二月三十一日、大晦日である。

 今年最後の任務は、王宮で開かれるカウントダウンパーティーに参加することだった。

 琉生の生誕パーティーの時とは違い、警護は任されていない。

 そのため、皆は幾分リラックスした様子で参加していた。

 だがこのパーティーは、夜通し行われるのだ。

 すっかり人に酔ってしまった晴久、人の多さに辟易としていた理玖、女性の数に圧倒された颯の三人は、既に会場にはいない。

 少し離れた場所で、休憩をしていることだろう。

 残りの五人と透花は、会場に留まっていた。

 湊人は相変わらず、地位のある者たちとのパイプ作りに勤しんでいる。

 心は夢中でご馳走を頬張り、蒼一朗はそれに付き合っていた。


「柊平さん、リラックス、リラックス」

「……隊長、申し訳ありません。私が不慣れなために……」

「ううん、大丈夫だよ。ちゃんとエスコート出来ているから安心して」


 本日の透花のエスコートは、虹太ではなく柊平のようだ。

 パーティーが開始した時点では、透花の隣にいたのは虹太だった。

 だが、華やかな容姿をしている虹太は令嬢たちの目を引くらしい。


「そこの殿方、椎名様と仰ったかしら?」

「俺のこと? うん、そうだよ~。どうしたの?」

「ご迷惑でなければ、私と一曲踊っていただきたいと思いまして」

「あんまりうまくないけど、それでもいいなら俺はオッケーだよ~☆」


 ダンスを申し込まれると、フェミニストの虹太は基本的に断らない。

 そのため、緊張した面持ちの柊平が代わりに透花をエスコートしているというわけだ。

 本日のパーティーでは、十二時になった瞬間に盛大に花火が打ち上げられる。

 王宮の外でも見えるので、城に入ることが許されない庶民たちも楽しみにしているのだ。

 十二時まであと二時間ほどになったところで、警護の者たちが慌ただしくなってきた。

 参加者たちは全く気付いていないが、透花はそれを見逃さない。

 平和なパーティーを脅かす何かが、着実に迫っていた――――――――――。

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