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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十二話
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真っ白な奇跡

 箱から飛び出た物は、キラキラと輝きながら舞い落ちる。

 まるで、雪が降ってきたかのように――――――――――。


「わあ! きれーい!!」

「………………………………!!」

「すごい……。雪みたい……」

(シン! ユキってなんだ!? オレ、こんなの初めて見たぞ!)


 大和と美海、そしてぱかおは大興奮である。

 特にぱかおは今まで雪を見たことがなかったので、嬉しそうに部屋中を走り回っていた。

 他の皆も、目の前の信じがたくも美しい光景に感動しているようだ。


(溶けない……。本物の雪じゃないんだ……)


 透花が、掌でそれを受けてみる。

 だがそれは溶けることなく、そのままそこに留まっていた。


「ん? あれ? なんか紙が落ちてきたよ?」


 一枚の紙が、雪のようなものと一緒に虹太の足元に落ちてくる。

 虹太はそれを拾うと、書かれている文章を読み始めた。


「え~っと、なになに……。『大和くん、美海ちゃん、メリークリスマス! 虹太くんは友達じゃからな! 特別なプレゼントを贈っちゃうぞい☆』って書いてあるけど……」

「すごい! サンタさん、おへんじくれたね! プレゼントもまたくれた!」

「………………………………!!」


 どうやら虹太の友人は、職業サンタではなく本物のサンタクロースだったらしい。

 大和と美海の願いに応え、”みんなが笑顔になれるプレゼント”をくれたのだ。

 自分の意思で自在に体の大きさを操れるアルパカも、人魚も雪男もいる世界だ。

 サンタクロースが実在したとしても、おかしくはないだろう。

 しばらくして照明が元に戻るまで、皆はその幻のような光景に酔いしれた。

 明るくなった部屋には、先程まで降っていたものの形跡は一切なかった。

 それは、サンタクロースから贈られたほんの一時の奇跡だったのかもしれない。

 この出来事は皆の胸の中に、特別な想い出として刻まれることになる。


 ――――――――――シャンシャンシャンシャンシャン。


「ほっほっほ、メリークリスマス!!」


 その夜、サンタクロースの笑い声とトナカイの鈴の音を聞いた者が大勢いたという。

 恐らくそれは、空耳ではないのだろう――――――――――。

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