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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十二話
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大きな大きなおいしい丸太

 夜は、晴久特製の豪勢なクリスマスディナーが振る舞われた。

 鶏の丸焼きやローストビーフなどの普段は食べられない料理に、年少組は夢中である。

 大人組も、いつもより箸や酒が進んでいるように見えた。

 食事が終わると、待ちに待ったクリスマスケーキの時間だ。


「張り切って作ったら、ちょっと大きくなっちゃいました」

「………………………………!!」

「………………………………」


 晴久が照れたように微笑みながら持ってきたのは、全長一メートルは優に超えるであろう大きなブッシュドノエルだった。

 一人では運べないため、透花の手を借りている。

 そのケーキを見た心は目を輝かせ、理玖は胸焼けを起こしため息を吐いた。


「美海ちゃん、どれくらい食べれますか?」

「これくらい!」

「はい、どうぞ。大和くんは?」

「………………………………!!」

「これくらいですね。心くんはどうしますか?」

「………………………………」


 心も美海と大和の真似をし、自身の両手でケーキの大きさを示す。

 それは、軽く三十センチメートルを超えていた。


「はい、どうぞ。みなさんに配ってもまだ残っていたら、それも食べてください」

「ありがと……」


 常人ならば驚くような量でも、心はぺろりと平らげてしまうのだ。

 それを分かっている晴久は、何のためらいもなく大きなケーキを心の皿に盛る。


「あっ、理玖さんには別のケーキを用意してありますので、後で持ってきますね」

「……どうも。でも、別にいい。冷蔵庫から取ってくるのくらい、自分でやるよ」


 その後も晴久は、皆にケーキを切り分けていく。


「はるにい、たべていい!?」

「食べていい……?」

「はい、どうぞ。召し上がれ」


 全員にケーキが渡ると、結城兄妹が待ち切れないといった様子で口を開いた。


「わーい! いっただきまー……!? え!?」


 それは、美海がフォークでケーキを掬い口に運ぼうとした瞬間のことだった。

 突如、部屋の照明が消えたのだ――――――――――。

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