個性豊かなサンタたちからのプレゼント
「サンタさん、どうしてとうかねえにだけプレゼントくれないの……!!」
「…………………………!!」
透花の手元にだけプレゼントがないのを見た大和と美海は、今にも泣き出しそうだ。
二人を宥めようと透花が口を開きかけた時、リビングに大きな声が響き渡る。
「わ、わー! こんな所にプレゼントがあったっすよ!!」
「きっと透花さんへの贈り物だね」
そう言ったのは、颯と心だった。
颯は目が忙しなく泳いでいるし、心はいつにも増して棒読みだ。
どう見ても怪しいのに、大和と美海の表情はパッと明るくなる。
「とうかねえ、あけてみて!」
「………………………………♪」
「……わあ、すごい!」
美海と大和に促され、透花は大きな箱の蓋を開けてみた。
するとそこには、小さな贈り物が八個も入っているではないか。
一つ目は、咲き誇る花々が描かれ、上品にスワロフスキーがあしらわれたグラスだ。
シャンパンを飲むのに、ちょうど良い大きさをしている。
二つ目は、オシャレなランニングウェアだ。
カラフルで派手にも見えるが、透花ならば着こなしてしまうのだろう。
三つめは、優しい香りが漂うポプリだ。
この香りが部屋中を満たせば、幸せな気持ちになれることは間違いない。
四つ目は、爽やかなエプロンドレスだった。
透花は機能的なエプロンしか持っていないため、これを贈りたいと考えたのだろう。
五つ目は、アクセサリーを入れることも出来るオルゴールである。
流れる旋律は耳にしたことのないので、オリジナルの曲なのかもしれない。
六つ目は、レンズに度の入っていないいわゆる伊達眼鏡だ。
透花は眼鏡を使わないので、見た目の雰囲気を変えたい時にかけると良いだろう。
七つ目は、アルパカの顔がついたフードブランケットだった。
透花が身に付けるには可愛過ぎる気もするが、彼女ならばこれすらも似合うはずだ。
八つ目は、クリスマス限定のマニキュアだった。
透花の華奢な指先を華やかに彩る、優しいピンク色だ。
「サンタさんもきっと、とうかねえのことだいすきなんだね!」
「………………………………☆」
透花だけどう考えても数が多いことは、特に気にならないらしい。
望み通り全員がプレゼントを貰えたことで、大和と美海はとても嬉しそうに笑う。
それを見守る大人たちの笑顔も、この上なく優しいものだった――――――――――。