その気持ちが、何よりのプレゼントなのだから。
落ち込む大和と美海に優しく声をかけたのは、透花だった。
「もしかして、サンタさんにお願いした物とは違う物が届いちゃった?」
「……うん。もちろん、ギターもすっごくほしかったよ。やまとくんも、しょうぎばんほしいっていってたし……。でも、みうたちがおてがみにかいたのはちがうの……」
美海の言葉に、大和も小さく頷く。
「そっかぁ。サンタさん、忙しくて間違えちゃったのかもね」
「そうなの、かな……」
「…………………………」
「お手紙に何て書いたか、よかったら教えてもらえる?」
美海と大和は一度視線を合わせてから、美海が口を開いた。
「あのね、”みんなにもプレゼントをあげて、えがおにしてあげてください”ってかいたの」
その答えに、皆は目を見開いて驚いた。
二人がそのような手紙を書いているなど、想像もしなかったからだ。
「サンタさんが、大人のところにこないのはしってるよ。でも、こうたにいのおともだちっていってたから、もしかしたらおねがいきいてもらえるかもっておもって……」
「…………………………」
美海と大和が書いた手紙には、自身の欲しいものは書かれていなかった。
彼らは、自分ではなくいつも優しい大人たちにプレゼントを届けて欲しいと願ったのだ。
その気持ちにこみ上げるものがあった蒼一朗と心は、それぞれ弟と妹を抱き締める。
「もう、プレゼント貰ったよ……」
「しんにい……」
「……おう。お前らがそんな風に考えてくれるだけで、俺たちは笑顔になれるんだからな」
「…………………………」
人間が笑顔になる時に大切なのは、そこに伴う気持ちなのだろう。
どんなに素晴らしい贈り物をしても、感情がこもっていなければ何の意味もない。
大和と美海の願いは、誰よりも”プレゼント”の本質を捉えた物なのかもしれない――――――――――。