ほしいものは、くつしたには入らないよ!
「みんな、おやすみなさい! きょうはサンタさんがきてくれるから、はやくねるね!」
「………………………………♪」
あっという間に、クリスマスイブの夜である。
食事を終え、風呂にも入った美海と大和は、機嫌よくリビングから自室に戻ろうとする。
そんな二人に、透花が声をかけた。
「二人とも、靴下はどこに飾ったの? それがないと、サンタさんがプレゼントを入れられなくて困っちゃうんじゃないかな」
大和も美海も、プレゼントを入れてもらうための靴下をどこにも置いていないのだ。
リビングのクリスマスツリーにも、それぞれの枕元にもそれはないのを確認している。
「くつしたはいらないよ! だって、みうのほしいものはそこに入らないもん!」
「………………………………☆」
美海の言葉に、大和も頷く。
これを聞き、誰もが確信した。
――――――――――二人の欲しかった物は、やはりギターと将棋盤だったのだと。
「そうだったんだね。明日の朝が楽しみで眠れないかもしれないけど、ゆっくり休んでね」
「うん! とってもたのしみ! みんな、おやすみなさーい!」
「………………………………!!」
美海と大和は、元気よく挨拶をするとリビングを出て行った。
二人が完全に寝静まったのを確認すると、蒼一朗と心が理玖の診療所までプレゼントを取りに行き、それをクリスマスツリーの下に置く。
枕元に置き、二人が起きてしまった場合を想定してこちらを選んだのだ。
無事にプレゼントを用意すると、皆徐々に自室へと戻っていく。
こうして、クリスマスイブの夜は静かに過ぎていったのだった――――――――――。