サンタさんにおてがみかいたよ!
冬も本番になり、寒い日々が続いている。
一色邸のリビングでは、大きなクリスマスツリーが存在感を放っていた。
楽しそうにオーナメントを飾っている大和と美海に、蒼一朗と心が声をかける。
「二人とも、楽しそうだな」
「………………………………♪」
「うん! だって、ことしはサンタさんが来てくれるかもしれないんだもん! みう、今までプレゼントもらったことないからとってもたのしみ!」
「……サンタさんに、何をお願いしたの?」
正確に言うと、美海は去年のこの時期には既に一色邸に住んでいた。
だが、母親の元を離れてから日が浅く、まだ精神が不安定だったのだ。
故に、今年のようにクリスマスツリーを置いたり、パーティーを開いたりはしなかった。
プレゼントも、サンタクロースからではなく透花が渡したという過去がある。
今年は初めてサンタクロースが来るということで、興奮も一入なのだろう。
「サンタさんにはもうおてがみかいたよ! ねっ、やまとくん!」
「………………………………☆」
「だから、しんにいたちにはひみつー!!」
「………………………………!」
人差し指を唇に当て笑う二人に、蒼一朗と心は面食らってしまう。
プレゼントに何が欲しいかを探りにきたのに、何の情報も得られなかったからだ。
これ以上聞いても、恐らく二人は話さないだろう。
「あっ、このかざり、ひもがきれそう! しんにい、なおしてー!」
「……う、うん」
「そうにいは、やまとくんかたぐるましてあげて! てっぺんにおほしさまかざるから!」
「お、おう」
兄二人の悩みなど知る由もない弟妹たちは、純粋な笑顔を浮かべている。
――――――――――二人の笑顔を更に輝かせるために、最高の贈り物をしたい。
そう考えた蒼一朗と心は、真剣な表情で頷き合ったのだった。