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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十一話
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涙と拍手とピースサイン

 颯たちが新たな衣装集めに奔走している中、夏生のソロ曲の順番になった。

 音源が破壊され、急遽虹太の伴奏で歌うことに多少の動揺はあったものの、今はすっかり落ち着いている。

 虹太の演奏を目の当たりにした者にしか得られない安心感なのかもしれない。

 使用許可が降りたグランドピアノが舞台に運び込まれる間は、夏生が話して場を繋ぐ。


「これから歌う曲は、僕にとって初めてのソロ曲です。気合いが入って、作詞にも挑戦しちゃいました! 拙いところはたくさんあると思うけど、少しでも僕の気持ちがみんなに伝わるといいなと思います。では、聴いてください」


 舞台上の転換が終わったのを確認すると、夏生は虹太とアイコンタクトを取る。

 それを合図に、美しいピアノの音色がホール全体に響き始めた。

 前奏が終わると、夏生の柔らかな声がメロディに乗る。

 それは、ゆったりとしたテンポの静かな曲だった。

 物悲しさはなく、どこまでも優しい音楽が広がっていく。

 ――――――――――パチパチパチパチ。

 音が止むと、観客たちは夏生に惜しみない拍手を送る。

 素晴らしい歌を聴き、思わず涙ぐむファンもいるほどだ。

 観客に一礼をしてから、視線を虹太へと向ける。

 そこには、右手でピースサインを作り笑う虹太の姿があった。

 まるで、悪戯を成功させた子供のような笑顔だ。

 こうして夏生は、急なトラブルを虹太と一緒に乗り越えることに成功したのだった――――――――――。

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