表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第四十話
505/780

やる気と笑顔を引き起こすもの

 更に数日後には、夏生の事務所に完成した音源と衣装のデザイン案が届けられた。

 それを確認した社長やスタッフ、そして夏生たちは動揺を隠せない。


「こ、このクオリティを数日で……!」

「有川くん、この二人は一体何者なんだね!?」

「ふ、普通の大学生とクラスメイトなんですが……」

「こんな逸材が素人だなんて……!?」

「二人とは、今後もいい付き合いをさせてもらいたいものだな!」


 虹太が作った曲は、十曲を軽く超え二十曲ほどに達していた。

 グループ全体で歌うものだけではなく、それぞれのソロ曲まで作ったのだ。

 颯も、一曲に対して二着から三着デザインするという徹底ぶりだ。

 今までよりも、個人の個性が目立つ衣装になっている。

 何より有り難いのは、添えられていた文章の内容だった。


『大目にできたので、好きな曲を選んでください☆ ソロ曲は、みんなの音域や歌唱力を考えて作らせてもらいました。歌いづらいなどあったら、遠慮なく連絡くださいね~♪』

『ここをもっとこうしたいとかの意見があったら、どしどし連絡ください! みんなの意見を取り入れたいです! 電話連絡の場合は、男の人限定でお願いします!』


 以前の作曲家とデザイナーは、他の者の意見に耳を貸すことはなかった。

 提案をしても、罵声を浴びせられ切り捨てられるだけだ。

 自分の曲、デザインが最も素晴らしいと自負しているからである。

 そのため、夏生たちは幾度となく苦い思いをしてきたのだ。

 だが、虹太と颯に変に凝り固まったプライドはない。

 自分たちの意見が反映されるということに、夏生たちメンバーはワクワクしていた。


「早速、この素敵な作品に合う歌詞とダンスを考えよう!」

「お任せください! ぴったりなダンスを考えますよ!」

「社長! 俺、自分のソロ曲は自分で作詞したいです!」

「俺もです! やったことないですけど、なんとなくやれる気がします!」

「いいぞいいぞ! こんなに素敵な曲と衣装を作ってもらったんだから、ここからは私たちは頑張らないといかんな! コンサート当日まで、全力で走り抜けようじゃないか!」

「「「「「「「「「「おー!!!」」」」」」」」」」


 不安で淀んでいた事務所内の空気が、明るいものに塗り替えられていく。

 虹太と颯がこの場にいたら、誰よりも笑顔になっていたのはこの二人だっただろう。

 こうしてコンサートに向けての準備は、着々と進んでいくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ