衣装問題、解決……!?
「悪いけど、今回は力になってあげられないわ」
放課後、颯と夏生は由莉の店に行き事情を説明したものの、返ってきた答えは否だった。
「そんな……!」
「ユリちゃん、なんでだよ!?」
「私にも、夏生ちゃんのグループに協力しないように連絡がきたのよ。あの人を敵に回すと商売がやりにくくなっちゃうから、ごめんなさいね」
「……いえ、そういうことなら仕方ないです」
「なんとかなんないのか!? 少し、ほんの少し力を貸してくれるだけでも……!」
「……オトナって、あんたたちが思ってるより面倒な生き物なのよ。悪いわね」
縋ってみても、由莉の意思は変わらないようだ。
すっかり肩を落としてしまった二人の姿は、見ていて居たたまれない。
「……そうだ。颯ちゃん、あんたがデザインすればいいじゃない」
「え……?」
「……は?」
「あんた、服のデザインに興味あるって言ってたわよね」
「……緒方くん、そうなの?」
「おう。確かに興味はあるけど……」
「いい機会だから、やってみなさいな。直接的な協力はできないけど、デザインのアドバイスとか、必要な生地の手配くらいはやってあげられると思うわ」
「緒方くん、お願い……! 他のメンバーとか事務所の人も手を尽くしてるけど、ほんとにデザインしてくれる人が見つからないんだよ……! 君さえ迷惑じゃなければ……!」
「迷惑なわけないだろ!!」
夏生の言葉を遮って、颯が大きな声を出した。
「わかった! やってみる! 友達が困ってんのに、見捨てるなんてできないぜ!」
「緒方くん、ありがとう!!」
「さっすが颯ちゃん! 男前ね~♡」
「その代わり、有川もユリちゃんも、できる限り協力してくれよな!」
「もちろんだよ! 僕、早速マネージャーさんに連絡しとくね!」
「ほんとに最小限のことしかできなくて申し訳ないけど、任せてちょうだい」
こうして颯が、夏生たちの衣装のデザインを手掛けることになったのだった。
残された大きな問題は、コンサートで披露する多くの楽曲のみである。