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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十九話
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とりっくおあとりーと!!

「………………………………!!」

「そっかぁ! 今日はハロウィンパーティーだったよね!」


 大和と美海がリビングに着くと、そこは橙と黒の装飾を施している真っ最中でした。

 パーティーは夜からのはずなのに、みんな張り切っていますね。


「二人とも、おはよ……」

「はよ。よく眠れたか?」

(おはよう! シンから聞いたんだけど、今日は楽しい日なんだってな!)


 キッチンから、心と蒼一朗とぱかおが出てきます。

 心と蒼一朗は、中身をくり抜いたカボチャを持っていました。

 ぱかおの鼻は、少しだけ黄色くなっています。

 つまみ食いをしたのかもしれないですね。


「おはようございます。カボチャが想像以上に硬かったので、蒼一朗さんと心くんに手伝ってもらっていたんです。今日は、このカボチャを使ったハロウィンメニューですよ」


 次にキッチンから出てきたのは、晴久です。

 カボチャはとても硬い野菜なので、晴久の力では切れなかったのでしょう。


「………………………………♪」

「すごいたのしみ! みうもてつだいたい!」

「気合が入っているな。でも、朝食が先だ」


 二人に声をかけたのは、柊平です。

 紙で作られたジャック・オ・ランタンを飾っている途中のようです。


「………………………………!!」

「わかった! じゃあ、きがえてくるね! もうかそうする!?」

「それは後にしといた方がいいぜ! 夜までに汚れちゃったら残念だからな!」


 そう言った颯の手には、黒猫の飾りがあります。

 高い場所に手が届かず、なかなか苦戦しているようですね。


「そうだね! じゃあ、ふつうのふくにきがえてくる! やまとくん、いこっ!」

「………………………………☆」


「そこ、バランス悪くないですか? もう少し右の方がいいんじゃないかなぁ」

「……そう思うなら、自分で直せば」

「二人とも、喧嘩はやめてよ~。今日は楽しい日なんだからね☆」


 湊人、理玖、虹太の声を聞きながら、大和と美海はリビングを出ようとします。

 そんな二人を、呼び止める人物がいました。


「大和くん、美海ちゃん。おはよう」

「………………………………!!」

「とうかねえ、おはよう!」


 そう、透花です。

 彼女は優しい手つきで二人の頭を撫でながら、微笑みます。


「おはよう。今日はハロウィンパーティーだね」

「うん! みう、とってもたのしみ!」

「………………………………!!」

「私もだよ。お菓子を貰うための特別な言葉、覚えてるかな?」

「もちろん! やまとくんもだよね!」


 大和はぶんぶんと大きく頷くと、急いでノートに鉛筆を走らせました。

 鉛筆の動きが止まると、二人は息を合わせます。

 美海がそう言ったのと、大和がノートを見せたのはほぼ同時でした。

 さすが仲良しの二人、タイミングはバッチリです。


「とりっくおあとりーとだよ!」

“とりっくおあとりーと!!”


 それは、この日だけ使える魔法の言葉です。

 今日はいつもとは違う、少しだけ特別な日になるのでしょう。

 このワクワクが、二人に不思議な夢を見せたのかもしれないですね。

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