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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十九話
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せかいをすくうための五つのもの

「なっ、なんだこの光は……!」

「うひゃー! すっごいまぶしいぞ!」

「目が、チカチカする……」

「この城は暗いっすから、これくらい明るいのもいいんじゃないすか!?」

「いや、限度ってもんがあるだろ……」

「きれーい! あんなほうせきがあるんだ!」

「……珍しい物を見せてもらったよ」


 あまりの宝石の輝きに、みんなも思わず声を出します。

 それほどまでに美しく、大きな光でした。


「まほうつかいさんの森で見た時は、ひかってなかったのに……」

「この光は、勇者様の力の証です。冒険をしている内に、石に力が貯まったようですね」

「ぼくの力の、あかしかあ……」

「はい。この世界を救うために必要な物が、五つあります。一つ目は、勇者様の力が貯まった石。そして次に、勇者様のみが持つことを許された武器です。三つめは、場所。それは、この魔王の城でなくてはなりません」

「だからぼくは、ここに来なきゃいけなかったんだね」

「ええ。私から事情をお話して来ていただくことも可能だったのですが、ここは人の領域です。神である私が、あまり容易に介入してもよい場所ではありません。ですから、勇者様自身の足でこちらまで来ていただきたいと思い、あのような接触方法をとりました」


 トウカはミウの方を向くと、優しく手招きをします。


「ミウ姫様、こちらへ」

「ミウ……?」

「はい」


 突然呼ばれたことを不思議に思いながらも、ミウはトウカの前までやって来ます。


「残りの二つとは、あなた方の存在です。この五つが揃うと、世界を混沌から救うための大いなる力が生まれるのです。それはもはや、神の力をも凌駕していると言っていいでしょう」


 ヤマトとミウは、びっくりしながら顔を見合わせます。

 自分たちにそんな力があるなど、想像したこともなかったですからね。


「勇者様は、剣をお持ちください。開いている方の手には宝石を乗せ、それを姫様と一緒に包み込んでいただけますか?」

「けんと、ほうせきを……」

「めがみさま、これでいいの?」


 ヤマトは、右手に剣を持ちました。

 そして、左手に宝石を乗せ、ミウと手を繋ぎそれを包み込みます。


「はい。これで、世界は救われます」


 トウカがこの上ない微笑みでそう言った瞬間、宝石が再び輝き始めました。

 その光は、あれほど眩かった数分前よりも更に大きなものです。

 みんなはいつの間にか、その光に飲まれてしまったのでした――――――――――。

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