せかいをすくうための五つのもの
「なっ、なんだこの光は……!」
「うひゃー! すっごいまぶしいぞ!」
「目が、チカチカする……」
「この城は暗いっすから、これくらい明るいのもいいんじゃないすか!?」
「いや、限度ってもんがあるだろ……」
「きれーい! あんなほうせきがあるんだ!」
「……珍しい物を見せてもらったよ」
あまりの宝石の輝きに、みんなも思わず声を出します。
それほどまでに美しく、大きな光でした。
「まほうつかいさんの森で見た時は、ひかってなかったのに……」
「この光は、勇者様の力の証です。冒険をしている内に、石に力が貯まったようですね」
「ぼくの力の、あかしかあ……」
「はい。この世界を救うために必要な物が、五つあります。一つ目は、勇者様の力が貯まった石。そして次に、勇者様のみが持つことを許された武器です。三つめは、場所。それは、この魔王の城でなくてはなりません」
「だからぼくは、ここに来なきゃいけなかったんだね」
「ええ。私から事情をお話して来ていただくことも可能だったのですが、ここは人の領域です。神である私が、あまり容易に介入してもよい場所ではありません。ですから、勇者様自身の足でこちらまで来ていただきたいと思い、あのような接触方法をとりました」
トウカはミウの方を向くと、優しく手招きをします。
「ミウ姫様、こちらへ」
「ミウ……?」
「はい」
突然呼ばれたことを不思議に思いながらも、ミウはトウカの前までやって来ます。
「残りの二つとは、あなた方の存在です。この五つが揃うと、世界を混沌から救うための大いなる力が生まれるのです。それはもはや、神の力をも凌駕していると言っていいでしょう」
ヤマトとミウは、びっくりしながら顔を見合わせます。
自分たちにそんな力があるなど、想像したこともなかったですからね。
「勇者様は、剣をお持ちください。開いている方の手には宝石を乗せ、それを姫様と一緒に包み込んでいただけますか?」
「けんと、ほうせきを……」
「めがみさま、これでいいの?」
ヤマトは、右手に剣を持ちました。
そして、左手に宝石を乗せ、ミウと手を繋ぎそれを包み込みます。
「はい。これで、世界は救われます」
トウカがこの上ない微笑みでそう言った瞬間、宝石が再び輝き始めました。
その光は、あれほど眩かった数分前よりも更に大きなものです。
みんなはいつの間にか、その光に飲まれてしまったのでした――――――――――。