めがみさまとひかる石
「……その姿、どうにかならないの。見慣れなくて気持ち悪いんだけど」
「そういわれるとおもっていたよ。すこしまってね」
リクに文句を言われた女の子は、右足でくるりとターンします。
すると、いつの間にか綺麗な女性へと変わっていました。
白い服に身を包んだ、神秘的な姿はまるで――――――――――。
「……めがみさま?」
その言葉は、自然とヤマトの口から出ていました。
女性はふわりと微笑むと、ヤマトに近付いてきます。
「さすが勇者様、よくお分かりになりましたね」
どうやら、本当に女神のようです。
「私はこの地を司る女神で、トウカと申します」
「トウカ、さん……」
「はい。お好きにお呼びください。勇者様に、その武器を持った状態でこちらの城に来ていただきたいと思い、少女の姿で少しだけお手伝いをさせていただきました」
「だから、いちごをくれたの?」
「ええ。私とリクは古くからの知り合いなので、彼が苺を持たざる者とは会わないことを知っていましたから」
「……少し、よろしいでしょうか」
トウカの話に口を挟んだのは、シュウヘイです。
「はい。なんでしょう?」
「……神相手に無礼を承知で言わせていただきます。なぜ、そのように回りくどい方法をとられたのですか? 女神という存在ならば、この城に既に魔王がいないことなど知っていたはずです。それなのに、どうして勇者様はここまで来る必要があったのでしょうか」
「混沌に満ちたこの世界を救うためです」
きっぱりと言い切ったトウカは、ヤマトを優しい眼差しで見つめます。
「勇者様、私が渡したお守りはお持ちですか?」
「うん! もってるよ!」
「では、中の石を出してみてください」
トウカに促されたヤマトは、袋からルビーを取り出します。
「わあ! まぶしい……!」
その宝石は、前に見た時とは比べ物にならないほどの眩い光を放っていたのでした。