もふもふじゃなくてもかっこいい! さすがオレ!
ぱかおが体に力を入れると、少しずつ毛が抜けています。
シンがそれを一吹きすると、それはみるみるうちに大きくなっていきました。
そして、膨張した毛の塊が敵に襲い掛かります。
「変わった攻撃方法だな! だけど、こんなの撃ち抜いてやるぜ!」
敵は、毛の塊に銃弾を撃ち込みます。
しかし、なぜか当たりません。
全ての攻撃が、受け流されてしまっているのです。
「う、うわあああああ!」
敵の少年は、あっという間に毛の海に飲み込まれてしまいました。
彼が落とした銃を回収して、シンとぱかおの勝ちです。
「うまくいったな!」
「……うん。でも、ぱかおの毛が……」
体中の毛を攻撃に使ってしまったぱかおは、もふもふではなくなってしまいました。
丸裸の今の状態は、毛が自慢であるぱかおにとっては耐えがたいものでしょう。
だけど、ぱかおは元気よく笑います。
「気にすんな! 毛は、また生えてくる! すぐにもふもふに戻るからな!」
「……うん」
「……確かに、それまではちょっぴりかっこ悪いけどさ」
「……ううん、ぱかおはかっこいいよ。その体は、がんばって戦った証だもんね」
「へへ! そっか! オレは、毛があってもなくてもかっこいいんだな! ありがとな、シン! お前が協力してくれたおかげで勝てたんだ! これは二人の勝利だぞ!」
毛の恨みを晴らせたので、ぱかおはすっかり上機嫌です。
こうしてシンとぱかおは魔王の腹心を倒し、勝利を掴み取ったのでした。