この毛の恨み、晴らさでおくべきか!
お城の中には、まだモンスターが残っていました。
ヤマトたちは戦いながら、少しずつ上の階に移動していきます。
あと五階ほどで、魔王と姫がいる最上階に着きます。
「……勇者様、伏せてください!」
「えっ……!?」
「ぱかお、大丈夫?」
「ちょっぴりかすったぞ! オレの自慢の毛によくも~!!」
そんな彼らに、突然弾丸が襲い掛かりました。
なんとか躱しましたが、ぱかおの毛を少し掠ったようです。
「当てるつもりで撃ったのに、避けるなんてやるな!」
「……先程までの奴らとは、格が違う敵が出てきましたね。ここは私に任せて、勇者様は先に行かれてください。二人とも、勇者様を頼む」
「いやだ! こいつのあいてはオレがする!」
「……ぱかお一人じゃ不安だから、僕も残るよ。だから、シュウヘイとヤマトは先に行って」
自慢の毛を傷付けられたことを、ぱかおはとても怒っているようですね。
敵意を剥き出しにして、今にも相手に飛びかかっていきそうな勢いです。
「……わかった。じゃあ、ここはお前たちに任せる。勇者様、よろしいですか?」
「うん。……ぜったいに勝って、すぐに追いついてきてね!」
「任せとけ! こんな奴、オレの手にかかればイチコロだ!」
「……がんばる」
ヤマトとシュウヘイは、この場をシンとぱかおに任せ先を急ごうとします。
ですが、それを敵が簡単に許してくれるはずがありません。
「通さねーよ! がっ……!」
再び銃を打とうとした敵の体に、ぱかおがタックルをかまします。
そのおかげで、銃弾がヤマトとシュウヘイに向かうことはありませんでした。
「お前の相手はオレだ! この毛の恨み、絶対に晴らすからな!」
「……今のうちに行って」
「わかった! 二人とも、ありがとう!」
「……くれぐれも、無茶はするなよ」
敵が行動不能になっている間に、ヤマトとシュウヘイは廊下を駆け抜けます。
こうしてこの場を切り抜けることに成功した二人は、最上階へと急ぐのでした。
そして銀髪の刺客対シンとぱかおの戦いの火蓋も、切って落とされたのでした。