ゆうしゃのけん
「わあ……!」
「あれが、魔王を倒すための剣か……」
「すごい! ごついぞ!」
「ん……。ここ、どこ……?」
この武器を手に入れるために、ヤマトたちはここまで旅をしてきたのです。
それを目の前にして、興奮せずにはいられません。
みんなの声を聞いて、シンも目を覚ましたようですね。
「……この剣は、勇者にしか抜けないようになってる」
「ゆうしゃしか……」
「……君が本物の勇者なら、簡単に抜けるはずだ」
リクの言葉を聞いて、ヤマトはごくりと唾を飲み込みます。
抜けなかった場合のことを考えてしまったのです。
(もし、ぬけなかったらどうしよう……)
そんなヤマトの手に、柔らかいものが触れます。
それは、ぱかおの毛でした。
シンも、いつの間にかヤマトの肩に乗っています。
シュウヘイも、ヤマトを励ますように寄り添ってくれました。
「ヤマトなら絶対に大丈夫だぞ! 強くて優しい奴だからな!」
「うん……。心配しなくても平気だよ……」
「……私も同感です。勇者様は素晴らしいお方ですので」
「……ありがとう! ぼく、やってみるよ!」
ヤマトは深呼吸を一つすると、剣と向かい合います。
そして柄の部分を握ると、力を込めてそれを引いたのでした。