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大好きな人を褒められると自分も嬉しい
少年たちの会話を聞いていた女の子の一人が、大和に声をかけた。
「やまとくんのおにいちゃんも、足速そうだよね!」
「そうにいのこと? 確かにそうにいは、足速いよね」
隣にいた美海が、大和の代わりに答える。
大和は、話すことができない。
先天性のものではなく、とある出来事をきっかけに声が出なくなってしまったのだ。
なので、コミュニケーションはジェスチャーか筆談でとっていた。
今のように、美海が間に入って会話を繋いでくれることも多い。
「やまとくんのおにいちゃん、背も高いし、かっこいいよね!」
「うん! たまにおむかえに来るけど、いつもさわやかだよね!」
いつの間にか数人の少女たちが集まり、蒼一朗について楽しそうに話しはじめた。
いつの時代も、女の子の方がませていて、おしゃべりが好きなものだ。
大和はその会話を、少し照れながらも嬉しそうに聞いていた。




