いちごが大すきなまほうつかいさん!
「まさか、魔法使いが求める”赤き光”がイチゴジャムだったとはな……」
地下へ続く階段を下りながら、シュウヘイがぽつりと呟きました。
それを、リクは聞き逃しません。
「……悪い?」
「……いや、そうではない。意外だったというだけだ」
「……単純に、僕の好物なんだよ。だけど、この森じゃイチゴは育たない。かといって町に行くのも嫌だから、イチゴを持って森に来た人は客人として扱うことにしてるんだ」
「……そうだったのか」
「……このことは知らなかったみたいだから、君たち運がよかったね」
「うん! いちごをくれた女の子にかんしゃしなきゃ!」
「イチゴをくれた、女の子……?」
ヤマトの言葉に、リクが反応します。
どうやら、その女の子に心当たりがあるようです。
「うん! くろかみの、とってもかわいい女の子だったよ!」
「……そう。年齢はどれくらいだった?」
「ぼくと同じくらいかな?」
「……なるほどね」
「???」
「……さっき、ルビーの話をしていたね。それも、彼女から貰った物だろう」
「え!? まほうつかいさん、どうしてわかったの!?」
「……魔法使いはね、なんでも知ってるんだよ」
「そうなんだ! すごいね!!」
ヤマトは、キラキラとした瞳でリクを見つめました。
その純粋な視線は、リクをむず痒くさせるのです。
「……さあ、着いたよ。ここだ」
そんなことを話している内に、あっという間に地下室へと到着しました。
扉を開けるとそこには、一本の大きな剣が地面に突き刺さっていたのでした。