ちゃんとかえすから、もう少しだけかしてね
「じょうほうやさんの話とちがうね……」
「……そうですね」
ヤマトたち一行は、魔法使いが住むと言われる森に足を踏み入れています。
しかし情報屋の話とは違い、いくら歩いても入口に戻されることはありませんでした。
それどころか、どんどん森の奥に進めてしまうのです。
「……知らない間に、魔法を解くためのアイテムを入手していたのでしょうか」
「ぼく、ジャムとお守りしか持ってないのに……」
ヤマトは鞄からジャムの入った瓶を、服の下からお守りを取り出します。
お守りは、紐を首にかけて持ち歩いているようですね。
(そういえば、中にはなにがはいってるのかな?)
ヤマトは中の物を落とさないように、慎重に袋を開きます。
すると、コロンとした小さな赤い石が出てきました。
シュウヘイと二人で、掌のそれを覗き込みます。
「きれいな石がはいってる」
「……これは、ルビーですね」
「ルビーって、ほうせきの?」
「はい。ルビーには、魔除けの力があるとも言われています」
「じゃあ、このおかげで先にすすめるのかな?」
「……確信はありませんが、おそらくはそうかと」
「これをくれた女の子にかんしゃだ! あっ、でも、ほうせきって高いんだよね……?」
「そうですね。物によりますが、これはとても立派に見えます」
「じゃあ森を出たら町にもどってあの子にかえさなきゃ! こんな高いものもらえない!」
「……勇者様らしい、立派な心掛けだと思います。では、なくさないようにそれは袋に仕舞っておきましょう。この森の中で落としたら、探すのが大変ですからね」
「うん!!」
ヤマトは、袋の中にルビーを入れます。
そしてまた紐を首に通し、服の下に大切に仕舞います。
「おい! この先に家があったぞ!」
「うん……。いかにも、魔法使いが住んでそうな家だったよ……」
偵察に行っていた、シンとぱかおが戻ってきました。
ぱかおは人間よりも鼻が利きますし、シンは飛んでいるので疲れにくいです。
だから、二人に偵察をお願いしたんですね。
こうして四人は、魔法使いの家に向かったのでした。