いちごとおまもりと、君のえがお!
ヤマトたちのおかげでほとんど全部の苺を拾えた女の子は、にこにこ笑顔です。
「本当にありがとうございました!」
「へいきだよ。いくつかつぶれちゃったのもあるけど、だいじょうぶ?」
「はい! 少し買いすぎてしまったなぁと思っていたので! あの、ごめいわくでなければこのいちごをもらってくれませんか?」
女の子は、二つあった袋の内一つをヤマトに差し出しました。
そこには、さっき拾った苺がぎっしりと詰められています。
「こんなにたくさんもらうのはわるいよ」
「いいんです。みんながむしするのにひろうのを手伝ってくれて、すごく嬉しかったので!」
「でも……」
「こんなお礼しかできないので、私の気持ちうけとってください!」
ここで、女の子に援護射撃が入ります。
「……くれるって言ってるんだから、貰おうよ」
「そうだな! 人のゼンイはありがたく受け取るものだぞ!」
美味しいものが大好きな、シンとぱかおのコンビです。
二人は、今にも涎を垂らしそうな勢いで苺が入った袋を見ています。
「……じゃあ、おことばにあまえさせてもらうね」
「はい! 本当にありがとうございました! あと、よかったらこれも……」
女の子がヤマトの手に置いたのは、紐がついた小さな袋でした。
中には、何か小さくて硬い物が入っているようです。
「旅のお守りです。勇者様の進む道が、希望に満ちたものでありますように」
その声は、どう聞いても女の"子"のものではありません。
「えっ……? どうして僕がゆうしゃだって知ってるの……?」
ヤマトが急いで女の子の方を見ると、彼女はもういなくなっていました。
音もなく、消えてしまったのです。
さて、女の子は一体何者なのでしょうね。
どうして、ヤマトの正体を知っていたのでしょう。
それは、神様のみが知ることなのかもしれません。