表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十九話
474/780

とってもかわいい女の子

 三人と一匹は、食事処に向かっています。

 腹ごしらえをしつつ、これからの作戦会議をするのです。

 その途中での出来事でした。


「あ、あれ……」


 ヤマトが何かを見つけます。

 彼の視線の先には、涙目になって地面に座り込んでいる女の子がいました。

 年齢は、ヤマトと同じくらいでしょうか。

 彼女に周りには、たくさんの苺が散らばっています。

 どうやら、転んだ拍子にばら撒いてしまったようです。

 通行人たちは見て見ぬ振りをし、彼女を助ける人間は誰もいません。

 踏まれて潰れてしまった苺もいくつかあります。


「だいじょうぶ?」

「あ……」

「てつだうよ」


 ヤマトはすぐに彼女に駆け寄ると、声をかけます。

 そして、丁寧な手付きで一つずつ苺を拾い上げていきました。


「みんなもてつだって!」

「……かしこまりました」

「……ん。美味しそうなイチゴだね……」

「シン! つまみ食いはダメだぞ!」

「あっ、ありがとうございます!」


 一人でやるのは大変だけれど、五人でやればあっという間です。

 全部のイチゴを拾い集める頃には、女の子は笑顔になっていました。


(わあ……。かわいい子だなぁ……)


 よく見ると、黒髪の似合うとても可愛らしい女の子でした。

 その笑顔に、ヤマトは思わず見とれてしまいます。


(ぼく、この子をどこかで見たことあるような……? うーん、気のせいかな……)


 いくら考えてもわからなかったので、ヤマトは気のせいだと思うことにしました。

 そんなヤマトを見ながら女の子が年齢にそぐわない上品で美しい笑みを浮かべていることに気付いた者は、この場にはいなかったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ