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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十九話
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たびのぎんゆうしじんさん

 酒場を出たヤマトとシュウヘイは、シンとぱかおを探します。

 二人の姿は、人だかりのある場所で見つかりました。

 その中心には旅の吟遊詩人がおり、二人は彼の歌を熱心に聴いているようです。

 大きな帽子を被り、見たこともない弦楽器を奏でている吟遊詩人。

 彼の口から紡がれているのは、昔からの伝承でした。


  漆黒を身に纏う者たちよ

  誰よりも光に憧れているが

  自分から近付くことは決してない

  闇に近い彼らが光を求めれば

  たちまちその身は滅んでしまう

  彼らは今日も待つのだ

  赤き光をもたらす存在を……


 吟遊詩人の歌が終わると、その場がお客さんたちの拍手で包まれます。

 歌だけではなく、彼の指から奏でられる音色も甘美なものでした。


「ねえねえ、おにいちゃん!」

「ん? どうしたの~?」


 彼の歌を聞いていた少女が、話しかけます。

 少女の瞳は、キラキラと輝いていました。


「今のおうたは、どういういみなの?」

「う~ん、残念だけど俺もよくわかんないんだよね! 子どもの頃に、俺が住んでた町に吟遊詩人のおじいさんが来たことがあってね。その時に教えてもらったんだ♪」

「そっかぁ。すてきなおうたをありがとう!」

「そう言ってもらえると嬉しいよ~☆」


 吟遊詩人は周りを見渡すと、へにゃりと笑います。


「みなさん、今日は聴いてくれてありがとうございました~! 吟遊詩人コウタを見かけた際は、ぜひまた足を止めてくださいね~☆」


 コウタと名乗った吟遊詩人は、ちゃっかり宣伝までしています。

 歌の意味は、ヤマトにも全然わかりませんでした。

 でもその美しい歌は、彼の心に深く刻まれたのです。

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