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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十九話
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おきると、そこはいせかいでした。

「勇者、起きないね……」

「……ああ。このままだとまずいことになるぞ……」

「もふもふ攻撃してみるか? あまりの気持ちよさに、目を覚ますかもしれないぞ!」

(んん……)

「あ……。目、覚めた……?」

「勇者様! お体に異常はありませんか!?」

「勇者ヤマトはお寝坊さんなんだな! おはよう!」

(ん……??)


 勇者ヤマトが目を覚ますと、二人と一匹が彼の顔を覗き込んでいました。


(しゅうへいおにいちゃんに、しんおにいちゃん……? ぱかおもいる……)


 この二人と一匹は、勇者がよく知る者たちです。

 ですが、いつもとは服装や体の大きさなどが違っていました。


(しゅうへいおにいちゃんのよろい、重くないのかな……? しんおにいちゃんは、どうしてこんなに小さいんだろう……。せなかに羽もついてるし……。あれ……? さっき、ぱかおしゃべったよね……? ぼく、なんで言葉がわかったのかな……?)


 一人の男は、重そうな甲冑を身に纏っています。

 もう一人の少年は掌に乗れるほど小さく、背中にある羽で空中に浮いていました。

 そして、銀色の毛のふわふわの動物。

 なんと彼は人語を操るようで、ヤマトにはその言葉が理解できました。


「勇者、しゃべらないね……」

「……起きたばかりで、まだ混乱されているのだろう」

「やっぱり、もふもふ攻撃するか!? 気持ちよさに絶対声を出すぞ!」

(みんな、ぼくがしゃべれないの知ってるはずなのに……)

「それー!!」

「「あっ……!!」」

「わぁっ……!」


 銀色の動物が、ヤマトの胸に飛び込んできます。

 受け止めたヤマトの口からは、自然と声が出ていました。


「あれ……? 声が、出る……?」

「ほらな! しゃべっただろ!」

「……そうだね」

「……ああ。私たちのよく知る、勇者様のお声だ」

「ゆうしゃ……? ぼくが……?」


 ヤマトは、辺りを見回してみます。

 彼が眠っていたのは、見たこともない荒野でした。

 ――――――――――彼はどうやら、異世界に来てしまったようです。

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