無茶をする時は、一緒だ。
恵輔は、無事にゴールすることができた。
全三十チーム中八位という成績は、主力選手を欠いていたこと、途中で起こったアクシデントなどを含めても出来過ぎと言っていいくらいの結果だろう。
「「「「部長! お疲れ様です!!」」」」
自分の走りを終え、ゴール地点で待っていた部員たちが恵輔に駆け寄る。
その中には、脱水症状を起こした第八走者の男と蒼一朗、そして柊平たちの姿はない。
「俺、すげー感動しました……!」
「俺も……! 今日、みんなと一緒に走れてほんとによかった……!」
「あ! あいつのことなら心配しなくても大丈夫ですよ!」
「一色隊の奴らがついてくれてます! 大分良くなったって連絡もきました!」
「そっか……。よかった……」
命の危険がなかったことに、恵輔は安堵のため息を漏らす。
それから、真剣な面持ちで口を開く。
「……みんなが、僕のために出来るだけいい順位を目指してくれてたっていうのは聞いたよ。その気持ちはとても嬉しい。だけど、今日みたいな無茶は二度としてほしくないんだ」
「「「「………………………………」」」」
「こういう時は、ちゃんと僕も仲間に入れてくれないと。自分だけ仲間外れなんて、嫌だよ」
そう言った恵輔の顔は、いつものように朗らかなものだった。
「無茶をする時は、一緒だ。それがチームってものだろう?」
「「「「……うす!!」」」」
「うん。じゃあ、まずは柏木くんと合流しようか。それから、お見舞いに行こう」
この日の出来事は、皆に仲間の大切さを改めて認識させることになった。
それを最も実感したのは、他の誰でもない蒼一朗なのかもしれない――――――――――。