身に染みる言葉たち
「はあっ……! はあっ……!!」
蒼一朗は、頭を空にしてがむしゃらに走り続けていた。
だが、逆走した分も含み予定よりもかなり長い距離を走ることになった。
そのために、ペース配分を誤ってしまったのだ。
(くそっ……! 部長のとこまで、あとどれくらいだ……!?)
緩やかではあったが、少しずつ速度が落ちていく。
「頑張ってください……!」
「ファイト~!!」
「そうにい、がんばれー!!」
「蒼一朗さん、久米さんの所までもう少しだよ……!」
そんな彼の耳に、聞き慣れた声が届く。
少し先の沿道に目をやると、そこには今日の大会に出ていない一色隊の面々に加え、美海と大和がいた。
声援を送っているのは、晴久、虹太、美海、透花である。
声が出せない大和も、身振り手振りで必死に応援していた。
理玖と湊人は口には出さないものの、蒼一朗の走りを真剣に見守っている。
(みんな、ありがとな……!)
声援とは、不思議なものだ。
それを聞くだけで、どこかから力が湧いてくるのだから。
蒼一朗は前を見据え、ひたすらに走り続ける。
恵輔に襷を繋ぐ場所まで、もう少し――――――――――。