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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第三十八話
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繋がった想い

 蒼一朗は、ただただ懸命に走っていた。

 彼の頭にあるのは、ここまで繋いできた襷を途切れさせたくないという気持ちだけだ。

 視界に、小さくだが第八走者の姿が映る。

 今にも倒れそうだが、なんとか前に進んでいるようだ。


(待ってろよ……! すぐ行くからな……!)


 蒼一朗はスピードを上げ、彼の元へと向かう。

 だが、もう少しというところで第八走者は足を滑らせてしまった。

 限界を超えた体が、ゆっくりと倒れていく。


「あっ……」

「………………………………!! おい! 大丈夫か!?」


 間一髪間に合った蒼一朗は、第八走者の体を抱きとめる。

 彼の顔は、汗や涙などでぐちゃぐちゃになっていた。


「柏木……? なんで……?」

「襷を受け取りに来たんだ。後は俺に任せてくれ」

「ごめん……! 俺……!」

「謝るようなことしてないだろ。お前がすげー頑張ってたから、俺はここまで来たんだぜ」

「………………………………!! ありがとう……! 頼んだ……!」


 涙を溢れさせながら、震える手で襷を渡す。

 蒼一朗は、それをしっかりと受け取った。


「おう。必ず部長に襷を届けるからよ。……すみません、選手交代です。こいつのこと、よろしくお願いします」


 蒼一朗は係員に第八走者を預けると、襷を体に掛ける。

 そして、恵輔が待つ場所へと走り出したのだった――――――――――。

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