レース、スタート!
大会までの一ヶ月は、あっという間に過ぎていった。
練習を重ねた蒼一朗たち駅伝部は、当日の朝を迎える。
今回の大会は、百キロの道のりを十人で繋いでいくというルールだ。
交代のタイミングは、各チームに委ねられている。
一度走った選手が、休憩を挟み再び走ることは出来ない。
「打ち合わせ通り、結城くんと緒方くんが七キロずつで、僕と柏木くんが十五キロずつ。残りの六人で五十六キロを走ってもらうよ」
オーダー表を見ながら、恵輔が話す。
単純に計算すると、一人十キロがノルマである。
だが、個人の経験や能力を考慮した結果、このようになったのだった。
「今日はいい天気だね! みんなで楽しんで完走を目指そう!」
恵輔は、本当に順位には拘っていないようだ。
だが、柊平たち助っ人を含む他の走者たちは違う。
蒼一朗は、異隊の条件を柊平たちにも説明した。
本来ならば、優勝以外は認められないのだろう。
しかし、今回はベストメンバーではない。
それでも上位に入賞できるようならば、恵輔の部長としての手腕が認められ条件が緩和されるのではないかと考えたのだった。
そのためには、できるだけいい成績を残したい。
「無事に完走して、次はゴールで会おう! ファイトー!」
「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」
全員で円陣を組み、気合を入れる。
駅伝部の戦いが、始まろうとしていた――――――――――。