454/780
腹にたまるのは餃子か それとも不安か
「柏木くん、遅かったね」
「あー、すんません……。ロッカーの鍵を探すのに手間取っちまって」
蒼一朗は、息を切らせて恵輔たちに追い付いた。
部員たちと話している間に、彼らは大分先に行ってしまっていたからだ。
部室での出来事などなかったかのように、皆と肩を並べる。
「いやー、練習の後はお腹が空くね! 今日の夕飯は何かな~」
「うちは確か、餃子だってハルが言ってたな」
「餃子……。お腹、減った……」
「おい! 心! 大丈夫か!?」
「……まずい。結城が空腹過ぎて気絶しそうだ。早く帰るぞ」
油断すると、明日からの練習が不安でため息が出そうになる。
それを必死で飲み込みながら、蒼一朗は皆と一緒に家路を急ぐのだった――――――――――。