二人の約束
任務から戻った翌日、晴久と透花は再びお茶会を楽しんでいた。
しかし、この間とは変わったことがある。
そこには、テレビで中継されているサッカーの試合を見ながら、先程作ったシュークリームをお茶請けに紅茶を飲む晴久の姿があったのだ。
熱心に視線を向ける先に映っているのは、雅紀だ。
「ハルくーん。テレビばかり見ていると、お茶零しちゃうよ」
「あ……! ごめんなさい。透花さんといるのに、僕ずっとテレビばかり見てましたね……」
「ううん、大丈夫だよ。初の単独外部任務だから少し心配していたのだけれど、そんな必要なかったなぁって思っていたの」
「え……?」
「今のハルくんを見ていたら、任務が大成功だったって伝わってくるよ」
晴久の表情には、今まではなかった自信が宿っているように見えた。
彼は穏やかな微笑みを浮かべると、紅茶を一口含む。
「……大成功だったかは、自分ではわかりません。でも、とても楽しかったです。こんなに楽しいのが初任務でいいのかと思うくらいですから」
「それならよかった。これからも、単独任務でできそうなものがあれば受けてもらえる?」
「はい、ぜひお願いします」
晴久は視線をテレビへと移すと、ぽつりと呟いた。
「……雅紀くんと、約束したんです」
「どんな約束をしたの?」
「雅紀くんがこの国の月間得点王になった時は、僕がご飯を作りに行くんです。それで、僕がまた単独で任務をこなすことができたら、その時は彼がサッカーの試合に招待してくれるんですよ」
「とても素敵な約束だね」
「はい。だから僕、できそうな任務は積極的に受けていきたいんです」
「わかった。ハルくんにやってほしい任務があったらお願いするから、その時はよろしくね」
「はい。こちらこそよろしくお願いします!!」
この日の試合で雅紀は、今月で二点目となるゴールを決めた。
(この調子だと、すぐに雅紀くんに会うことになりそうですね)
晴久は、月末の休みは予定を空けておこうと思い微笑むのだった――――――――――。